見出し画像

アグリテック開発を加速させる株式会社Happy Qualityが目指す「生産から流通までの世界のスタンダードを作る」とは?!

2023年3月、アグリテックで農業を支援する株式会社Happy Qualityが、研究開発の加速と更なる事業拡大に向けて4億5,000万円の資金調達を実施しました。前回の記事では、資金調達を実現した株式会社Happy Qualityの代表取締役 宮地 誠さんに事業立ち上げのきっかけや事業にかける想い・今後の展望についてインタビューをさせていただきました。

今回は、インタビューの後編として「資金調達でどの事業を強化するのか」「今後の展望について」をお聞きしました。ぜひご覧ください。

前編はこちら!
https://startuplog.com/n/n2533d7dbde9b

株式会社Happy Qualityについて、事業内容はこちら!
https://expact.jp/happy_quality/

ー今回は、株式会社Happy Quality様の資金調達についてお伺いしたいと思います。まず「人材面での強化」を考えられているとのことですが、具体的にどの部門に一番力を入れたいと思われますか?

今一番欲しいのは「プロジェクトマネージャー」です。具体的には、「プロジェクトが明後日の方向に行ってないか」「何か余分なことやってないか」といった点を管理する役割です。

また、私の右腕となるような幹部候補が欲しいです。社内では「私の首を取りにこい」って言ってるんですよ(笑)会社をもっと成長させるために、常に危機感を持って社長を追い越す勢いを持っているような方と働きたいです。

あとは、営業活動にも力を入れていきたいと思っているので、営業に特化した人材も欲しいです。

ーより事業を発展させるための人材強化なんですね。さらに、研究開発にも資金を使いたいとお聞きしましたが具体的にどんな研究に力を入れていくのでしょうか?

研究開発で「デジタルファーム」というデジタル上での農園を作って、シミュレーションを行えるようにしたいと考えています。そのために、外部にアウトソーシングするより社内で完結できるようになりたい、というのも先ほどの人材強化の目的の一つです。

ーデジタルフォームについてもう少し詳しくお伺いしてもよろしいですか?

農業版デジタルツインと呼ばれるもので、農業をリアルとデジタルの融合で行うことができます。一つの画面上に世界中の農場の環境値を作ります。現実には一ヶ所にしか足を運ぶことができませんが、デジタル上では各地の天気や土のデータを一度に配置します。そこで同時に同じ種をまいてみて、どのように植物が成長するのかをシミュレーションすることができます。さらに「農薬を使用した時にそれが本当に有効なのか」であったり、肥料の濃度や水のタイミング、日射データなどを一目で確認することもできます。

例えば、トマトを現実で育てると種をまいて実になるのに100日もかかるんですよ。さらにみかんだと10年以上かかると言われています。これをデジタル空間で再現することで、データを集めるための時間を節約することができます。もちろん、ただの仮想空間のゲームに終わって正確なシミュレーションができないと意味がありません。

そこで、より現実に近いシミュレーションを行うために、実際のデータを「生きた教師データ」として使っています。そのデータを取るためのデバイスを開発しているのですが、実際にデジタルファームに投入すると、「大体これくらいだろう」ではなくて本物のシミュレーションに近づくと考えています。

ー成果が出るまでの時間を節約することで、限られた時間で正確なシミュレーションが行えるんですね。具体的に、どのように活用できるかのイメージを教えて頂けますか?

具体例をお話しすると、今UAE(アラブ首長国連邦)とプロジェクトを進めています。UAEの環境は極端で、国土の88%が砂漠である上に、気温が60度からマイナス20度に下がるんですよ。そのような環境で農業を行うために、UAEの環境値をシミュレーションに入れてみて、ハピトマ(※Happy Qualityの製品であるトマト)が作れるのか?といった検証を行っています。

また、逆に現地でよく栽培されるキャッサバという大きな芋のような農作物を日本で作るためには、といった検証も行っています。実は、キャッサバはUAEだと50日、日本だと3か月くらい栽培にかかります。リアルでやると、日本だと年間に4回転しかできませんし、季節ごとに環境も変わるので、同じ環境を再現できないという課題があります。
それをデジタル環境でシミュレーションすることで、私たちが「生きた教師データ」と呼んでいる光合成点群データなどの細かいデータを取ることができます。

ーたしかに、日本と全く違う環境でもデジタル上で再現できれば、進出の幅も広がりますね。では、宮地さんは海外展開についてはどう考えていらっしゃいますか?

少し変わった回答にはなりますが、私自身は海外に出ていくよりも「世界がHappy Qualityに来てくれるようになりたい」と思っています。つまり、どこにいても私たちが中心でありたい、という感覚を持っています。私たちのビジョンは「生産から流通までの世界のスタンダードを作る」ことです。そしてその理由は「あったらいいな」ではなくて「なくてはならない」存在を目指すというのが私の意義だからなんですね。

事業を始めた当初は、大企業や国の人たちに呼んでもらうことが大きなチャンスだと考えていた時期もありました。ただ、その経験を経て来てもらう会社になると決意したんですよ。明確なビジネスモデルを描き、実績を積み、そのための研究開発をしてサービスや商品まで落とし込むことができれば「頼られる存在」になれると思っています。それこそが信頼です。

話は逸れましたが、海外展開に関しては「日本だから」「海外だから」と線を引くのではなくて、どこにいても誰もが信頼する実績をつけることで来てもらう存在になりたいと考えています。だから、私は「商売敵は誰ですか?」と聞かれたときは「宇宙人です。」と答えるようにしているんですよ(笑)

ー海外に展開していくだけではなくて「世界のスタンダードになる」という考え方は新鮮ですね!では最後になりますが、今後の展望を踏まえて今回の資金調達における出資先である明石吉田屋産業様とどのようなことに取り組んでいかれるのでしょうか?

明石吉田屋産業さんは、1900年創業の歴史のあるエネルギー会社さんです。その歴史のある企業がスタートアップと組んだことで、大きな相乗効果が狙えると考えています。エネルギー業界は農業には絶対に必要不可欠な業界です。農業ってとにかくエネルギーを使うので、農家さんにも私たちにも、ここが協働することでコスト面でのメリットが生まれます。

また、現在の5代目社長が「とにかく地元に還元したい」という強い思いを持っていらっしゃるんですよ。そこで、明石吉田屋産業さんが農業法人を作り、農業を始める。そこを当社が支援しながら、商品を仕入れて売ることで共に成長していきたいと考えています。

今後は、さらに多くのパートナー企業様との取り組みでより農業の発展に貢献していきたいです。

ー常に新しいことに挑戦しながら、アグリテック領域から「生産から流通までの世界のスタンダードを作る」ビジョンを目指しているのですね。本日は、ありがとうございました!

Happy Quality宮地さんのインタビュー動画はこちら!

[会社概要]
【会社名】株式会社 Happy Quality
【URL】https://happy-quality.jp/
【設立年月】2015年
【代表者】代表取締役社長 宮地 誠
【所在地】〒437-0061 静岡県袋井市久能1887

取材・執筆担当:EXPACTライター 森田


【記事のシェアにご協力ください】 この記事が有益だと感じていただけましたら、 X(旧Twitter)でのシェアをお願いいたします。 #StartupLog #スタートアップ