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【VCインタビュー】新興VC「ON&BOARD」のボードメンバーが語る自社の特徴(前編)

2023年10月に設立されたON&BOARD株式会社は、シード・アーリーステージの創業期スタートアップを対象にリード出資を行う新興VCです。

本記事ではそんな新進気鋭のVC、ON&BOARD社のみなさまにインタビューをさせていただきました。

今回はインタビューの【前編】として、ON&BOARD社が掲げる「Unlocking Talent Across the World/世界の声を聴く」というミッションに向けた挑戦と、彼らがどのようにスタートアップ支援をしているのかを掘り下げていきます。


STARTUP LOGでは、VC・投資家のみなさまの活動紹介を行い、スタートアップ関係者にとって有益な情報提供をさらに拡充していきます。
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ON&BOARD 共同代表パートナー 下平さんの経歴と想い

ON&BOARD株式会社 共同代表 ジェネラルパートナー 下平 将人氏

ーまずは共同創業者であり、代表パートナーである下平さんの経歴を教えてください。

下平氏:新卒では弁護士事務所で弁護士としてスタートしました。その後はインターネットビジネスに興味があったこともありLINEへ転職、社内弁護士をした後に異動してAI領域の新規事業開発に従事しました。

LINEを離れるタイミングで起業しようかと迷ったのですが、VCにもとても興味があり2017年にドリームインキュベータに転職、ベンチャーキャピタルとしてのキャリアをスタートさせました。そこではVCの立ち上げや出資、支援、エグジットに携わらせていただき、2024年7月にON&BOARDを立ち上げて今に至ります。

ー弁護士事務所からLINE、かなり大きな方向転換だったかと思いますが、どのような背景があったのでしょうか?

下平氏:弁護士を志した当初から「世の中を良くしていきたい」という想いがあり、対症療法的なものでなく、世の中を構造的な部分から改善していきたいと思ったのがきっかけでした。

それができるのは事業であると考え、学生時代からプログラミングやインターネットに興味を持っていたこともあり、当時スマホ×プラットフォームの事業で面白いフェーズであったLINEへ転職しました。

ーなるほど。そこからLINEで事業サイドを経て「事業を作る側」から「投資をする側」に移られたのはなぜだったんですか?

下平氏:いくつか理由がありますが、「世の中を良くしていきたい」という観点でもっと日本にリスクマネーの考え方を浸透させ、日本のチャレンジの素養を高めるためのエコシステムをアップデートしたいと思ったのがきっかけです。

日本はスタートアップへのリスクマネーの供給が十分ではないですし、起業家を支えるエコシステムがアップデートされていないという課題を感じていました。

ー下平さんが「世の中を良くしていきたい」と想い続ける中、法の世界〜事業サイドを渡り歩き、それを実現できるのがVCであると行き着いたのですね。

下平氏:そうですね。ただ、ON&BOARDはVCでありながらも「投資家然としない」ということを心がけてます。

いわゆる パラレルアントレプレナー(並行起業家)という姿勢をとっており、出資することで複数同時並行的に起業をしているという感覚を持ちつつ、起業家と対峙しながら自分達のビジネス知見を高めています。

それらを支援先に還元することで、結果的に世の中が良くなると思っています。

ー自分たちで事業を創っていく当事者意識を持ちつつ、起業家を支援していく姿勢ということですね。世の中の課題解決に向けて、下平さんの本気度が非常に伝わりました。

多彩なバックグラウンドをもつボードメンバー

ーまずは、共同代表である中山さんからご経歴とON&BOARDを立ち上げた背景を教えてください。

ON&BOARD株式会社 共同代表 ジェネラルパートナー 中山 航介氏

中山氏:私は新卒でドリームインキュベータ社に入社し、新規事業開発を支援する戦略コンサルティングに従事していました。その際に一緒に働いていたのが、下平でした。約6年間にわたり、下平と一緒にベンチャー投資を行っていました。

その後、現在のLINEヤフー社(当時:Zホールディングス社)に転職し、主にLINEとヤフーの経営統合に従事していました。経営統合が完了したタイミングで、下平や長谷川、竹内と合流し、一緒にON&BOARDを創業しました。

ー下平さんらと一緒にVCを立ち上げようと決意したきっかけは何だったのでしょうか?

中山氏:前々から日本経済の課題である人口減少やそれに伴う市場縮小の中で、従来と違う方法で新産業を生むスタートアップ支援をしなければいけないという危機感を持っていました。

ファンド組成前から下平や長谷川、竹内とは課題感と方向性が共通していたため、着手するには早い方がいいと考え共同創業を決意しました。

ー大企業の経営統合なども経験し、日本を良くするためには新産業・スタートアップを支援することであると改めて感じられたということですね。

中山氏:そうですね、日本の企業が中長期トレンドで縮小していく国内市場において財務基盤を強くするためには経営統合も1つの手段と感じつつ、やはり新産業の種を作るのはスタートアップだと考えています。

ー次に、長谷川さんのご経歴とジョインの背景を教えてください。

ON&BOARD株式会社 パートナー 長谷川 俊介氏

長谷川氏:新卒から15年間三菱商事におりまして、防衛セクターで5年、自動車セクターで10年、グローバルな営業畑でキャリアを形成してました。

当時はインドネシア事業の投資先であるトラック販売会社に赴き、商品企画や販売のオペレーションも主導してました。

帰国後、事業投資総括部に社内出向し、全社の投資委員会にてクロスボーダーM&Aやスタートアップ投資等の投資案件、事業再生、撤退案件の審議などにも関わっていました。

ー下平さん、中山さんとはまた違ったご経歴なんですね。

長谷川氏:そうですね。ただ、立場は違えど世の中に新しいイノベーションが広がっていくのを目の当たりにする中で、日本でもイノベーションのエコシステムをアップデートさせる必要性を感じるようになりました。

ちょうどその時期、大学のゼミも一緒で、卒業旅行にも一緒に行ったような友人でもある下平に声をかけられ、ON&BOARDに参画することになりました。

ー長谷川さんも単なるスタートアップ投資ではなく「エコシステムのアップデートの重要性」を感じていたんですね。

長谷川氏:その通りです。同じ方向性・ビジョンであったことがジョインを決めた大きなポイントでしたが、それ以外にもON&BOARDは年齢・バックグラウンド関係なく意見を言い合えるチームです。
個々の考えを尊重しているからこそ、各々が強みを発揮することで強固なチームになっているという点も最終的にジョインを決めたポイントです。

ー最後に、竹内さんのご経歴とジョインの背景を教えてください。

ON&BOARD株式会社 Tech Executive 竹内 悠貴氏

竹内氏:私は、いわゆるAIや神経科学、薬学関連のバックグラウンドを持っており、世界レベルのAI機関であるBeyond AI 研究推進機構という組織で活動していました。そこではBMI(脳波を読み取り機器を操作する装置)や睡眠の研究を行っており、データベース構築、脳領域の画像認識などにも携わってきました。

ーそこからON&BOARDへのジョインはどういった経緯だったのでしょうか?

竹内氏:もともと起業に興味を持っていたこともあり、下平の前職でインターンとして働いていたのが最初の出会いです。

もちろんそれはきっかけに過ぎないですが、私は研究者として日本のディープテックや優れた研究技術がもっと社会実装されるべきだと考えておりました。インターン退職後、下平がVCを立ち上げることを知り、他創業メンバーと同じ考え方を持ち、ビジョンに共感できたことから共同創業に至りました。

ーある意味他のメンバーの方とは全く違う分野を専門にされてるかと思いますが、大きな方向性が合致したという感じだったんでしょうか?

竹内氏:そうです。もっと言うとこのメンバーは各々が違った強みをもっているため、大きなビジョンを描くことができると思ったのがジョインの大きなポイントです。

具体的に、私たちは「2050年までに世界で一番多くのユニコーン企業を創出するVCを目指す」というビジョンを掲げています。こうした壮大なビジョンへの共感が大きな決め手でした。

多彩なバックグラウンドを持つボードメンバー

ーボードメンバーのみなさんの多彩なバックグラウンドが、強固な支援体制を築いているのですね。

下平氏:その通りです。私や中山は、過去に上場やM&Aを含むトラックレコードを持っており、長谷川のグローバルでのビジネス経験、竹内のAIと神経科学、薬学等の研究者としての専門知識も、投資先企業にとって大きなアドバンテージです。
ファイナンス面だけでなく、事業開発や技術支援など、さまざまな側面から投資先を支える体制を構築しています。

投資方針・支援の特徴/強み

ーそれでは、ON&BOARDの投資方針や支援の特徴について教えてください。

長谷川氏:投資判断において評価軸となる点は大きく2点です。
1点目は世の中を大きく変えていけるようなインパクトのあるソリューションを実証できるか、2点目はグローバルに打って出ていけるソリューションを有しているかです。

スタートアップの成長可能性について、水平方向を「広さ(グローバル)」、垂直方向を「深さ(社会的インパクト)」で考えた場合に、この立方体が大きくなる可能性を秘めているスタートアップであれば、どのような領域でも投資をしていきたいと考えています。

ーなるほど。ちなみに起業家の「人となり」という観点ではいかがですか?

下平氏:人となりについては、「情熱とコミットメント」を重視しています。困難に立ち向かい、乗り越える覚悟がある起業家やチームであることを期待しています。

仮にアイディア段階であったとしても、熱量があり事業解像度が高ければ、その段階からの相談も受け付けており、壁打ちを通して事業計画の磨き上げをサポートしています。

ーそれは起業家にとって非常に心強いサポートですね。

長谷川氏:パラレルアントレプレナー(並行起業家)という姿勢をとっているとお伝えしましたが、私達は単にスタートアップに資金供給を行うだけではありません。

資金供給の他、経営戦略、組織構築、プロダクト開発まで多岐にわたるハンズオン支援も行っています。メンバー各々が特徴を活かしつつ全方位的な支援ができることが大きな特徴です

ーあらゆる専門性を武器に、出資前後問わず起業家を支援されている姿勢が素晴らしいですね。

中山氏:その他にも特徴としては、グローバル展開も視野に入れた投資方針のため、国内外のネットワークも活用して支援しています。

スタートアップ経営陣のニーズにあわせて、国内のみならず海外展開での事業成長も見据え、投資契約はグローバルスタンダードに合わせているため、後の資金調達で海外VCが参加しやすいような資本政策を意識しています。

ー非常に手厚く、かつ幅広い支援をされていますね。メンバーの専門性を活かした質の高い支援が、ON&BOARD社の大きな強みであることが理解できました。

そんなON&BOARD社では、起業前で0->1でビジネスモデル作りをする過程の支援も行っているそう。【後編】では、同社が手がける「創業支援プログラム」や、掲げるビジョンについてさらに深掘っていきます!

(後編へ続く)


[本記事にてご紹介させていただいたON&BOARD株式会社様]

会社名:ON&BOARD株式会社
所在地:〒105-6415 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー15階(CIC Tokyo)
URL:https://onboardvc.com/
contact:https://onboardvc.com/contact/
創業支援プログラム Out of BOUNDS:https://onboardvc.com/outofbounds/
創業支援プログラム Out of BOUNDS for Academia:https://onboardvc.com/outofbounds-academia/(〜2024.12.16 応募〆切)

STARTUP LOGでは、今後もスタートアップ関係者や投資家に向けて、VCの活動紹介を続けていきます。

VCとの出会いや支援が成長の鍵を握る時代において、彼らの投資戦略や特色を発信することで、スタートアップの成功や投資機会の拡大につなげていきます。

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